tomarigi
梅田阪急
ビルスカイロビー

2010,
大阪府梅田,
家具

tomarigi bench

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自由な家具
大阪・梅田阪急ビル15Fスカイロビーのための家具の計画。ロビーは御堂筋の正面に位置し、都市にぐるりと囲まれた高さの風景を楽しむことができる。EV乗換階であり、将来百貨店と連絡するため、オフィス利用者だけでなく、散歩する人、駅上で待合わせる人、歩く人と立ち止まる人が自然にまざりあう、上空の広場となっている。
ここではいくつかの意味で「自由な家具」について考えた。一つは人との関係を拘束しない自由な家具。座っても良いし、座らなくても良い、手で触れているだけなど、家具との距離感をコントロールでき、身体との新しい関係を発見できる家具。もう一つは定位置にあるが建築との関係が自由な家具。 弧を描く6台のベンチ/テーブルは、プランや人の流れと街のパノラマのどれからも少し浮いた存在としてあることで、座る人の視線をずらし、透明な空間の中での居場所をつくり出す。また、無垢集成材の重量と曲率だけで自立して安定し、一カ所も床固定されていないという点で物理的にも自由である。
ゆるやかな傾きと流れを持つ座面が最小限の脚で浮かぶように支えられた、無垢のやわらかい木の質感のベンチ/テーブルは、32cmから108cmまで高さが変わり、座る・よりかかる・腰かける・テーブルのように使う・立ちどまる・遊ぶなど、待合わせロビーでのさまざまな人の姿やふるまいを自然に引き出す。 とまり木のように、人が活動する風景そのものが空間として感じられることを目標とした。(福屋粧子)

構造解説
曲げ加工された集成材(280x250)にステンレス製の脚(φ40)を取り付けただけ、という極めてシンプルな構成。1本脚であってもその配置が弧を描けば、自重に対し安定するであろうことは容易に想像がつく。しかしながら、人の衝突等の衝撃力、あるいは変則的な荷重が作用してもなお安定、となると簡単にはいかない。特に、床に対しアンカー施工することが認められない以上、転倒に対しては細心の注意を払わねばならない。 転倒は、ある高さに水平力を作用させること、及び、転倒軸に対し重心位置とは反対側の領域に鉛直力を作用させることで起きる(図1)。この転倒モーメントに抵抗する力を安定的に供給するのはベンチの質量だけであり、それにも限界がある。すると、設計がコントロールできるのは、ベンチの高さ(=荷重の作用高さh)とベンチの曲率(=転倒軸から重心までの距離Lを導く)のみとなる。 これは即ち、ベンチの形態と構造性能が不可分であることを示しており、その緊張感が少なからずこのベンチの魅力の一つとなっている。(満田衛資)

所在地 :大阪府大阪市北区角田町8番1号
主要用途:ロビー
建主  :阪急電鉄(発注者,事業主体,クライアント)
     
建築設計:福屋粧子建築設計事務所
     担当/福屋粧子
     協力:小島善文 田原誠
構造設計:満田衛資構造計画研究所
     担当/満田衛資 後藤裕晃
建築施工:阪急製作所
     担当/石田直樹 岡本尚人
植栽  :クリエイティブ阪急
植栽デザイン協力:インテリアスケープ
延床面積:1,060㎡(当該部分)
天井高 :4,800mm(当該部分建築本体)
主体構造:木造 一部鉄骨造
設計期間:2009年10月~2010年2月
施工期間:2010年3月~2010年4月
座   :ホワイトアッシュ無垢集成材 w280mm,h250mm,L7m-12.6m+オイルウレタン塗料(オリオ2)
脚   :ステンレスHL ムクφ40
植栽  :ベンジャミン・ゲッキツ・ジャボチカバ・エバーフレッシュ
カバー :ステンレス t=1.2mm ロール加工 h420-530mm
掲載誌 :新建築
     構造デザインマップ 関西
写真撮影:鈴木研一

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