東京都心の築40年のRC造マンションの一階住戸の改装である。緑豊かな内庭が目の前にあり、都心だが静かで落ちついた環境にある。 現在の住まい手は若いご夫婦と子どもだが、将来的に住み手が変わり貸住戸になる可能性も高いので、ホテルのような落ち着きがある部屋という希望をもとにして考えていった。
他方で、築年数が経った建物であり改築工事については管理規約が厳しく、コンクリート壁に関わる変更は不可、配管位置変更やサッシ交換も困難だったが、それらの条件の中でも、なるべくゆったりとした空間をにしたいと考えた。 バスルームは白のモザイクタイルで仕上げ、窓周りや洗面台のニッチの仕上げを変えて、広がりをもたせた。 主寝室の壁には、窓周りの壁全体を覆う棚をつけた。既存のサッシは残したままだが、棚を付けると、外との間にもう一層の空間が細長く広がる。窓の機能や緑の風景をとりいれながら、壁全体が本棚兼小テーブルとなっている。 単に庭を風景として眺めるだけではなく、寝室の窓際でお茶を飲むと小鳥の声が聞こえたり、小さな住戸の中でもいろいろな生活の場面を楽しめる家である。